ジュエリーとパーソナルカラーについて考えること

パーソナルカラーでは一般的に、イエベの人にはゴールドカラーの地金を使ったアクセサリーを、ブルべの人にはシルバーカラー(プラチナ・シルバー・ホワイトゴールド)をおすすめします。私も含め、明るい色が得意だと、シルバーもゴールドも得意であったり、ビビッド系の人だとブルべでもマットなゴールドが似合ったり…と。パーソナルカラーとジュエリーはけっして無縁とは言えません。一般のジュエリーに関する本の中にも、肌色によって似合う地金の色が違うことが指摘されています。

ただ、この件については少し私なりに思うことがあるのです。それはジュエリーとTPOとの関係です。

フランスのマダムが教えるジュエリールール

長年ニナ・リッチのオートクチュール・サロンの支配人を務めたジュヌヴィエーヴ・アントワーヌ・ダリオーが、今から50年以上も前に書いた『エレガンス』という本は、改訂を重ねながら日本でも何度か翻訳されています。最近の日本語版は中西真雄美さんの訳した『パリのエレガンスルールブック』が2015年に出版されていて、私もこの本の影響をかなり受けています(笑)。

パリのオートクチュールサロン支配人が教える パリのエレガンス ルールブック

この本の中で、マダムはジュエリーの昼間の装いについて、幾つか指摘をしているので一部抜粋してみます。

「飾りのないゴールドのイヤリングは昼用のものです。夕方以降やドレッシーなアンサンブルの装いにはけっしてエレガントではありません」
昼間は、指輪はせいぜい片手にひとつずつ(薬指か小指だけに。他の指にははめてはいけません。結婚指輪や婚約指輪も数に入れます)、そのほか腕時計、真珠かビーズの一連のネックレスなら身につけてかまいません。服がシンプルで飾りのないものならブローチもよいでしょう」
午前中に身に付けてよいダイヤモンドのジュエリーは、指輪だけです。」
「ほかにジュエリーをつけないなら、半貴石のきれいな飾りやチャームのついた重要感のある金のブレスレットも楽しいものですし、シックに見えます」
「真珠や金のネックレス(シックさには欠けますが)は、午前中の早い時間から身に付けてかまいません。コスチューム・ジュエリーや、ターコイズ、珊瑚といった半貴石を使ったシンプルなネックレスは、昼食以降に身に付けるものです。」

また、夕方以降の装いについては以下のような記述があります。

夕方になり、ドレッシーな装いをするのなら、腕時計ははずして—もっともダイヤ入りのブレスレットに隠れるなら話は別ですが」
「一般に、プレーンな金のジュエリーは、にはあまりエレガントではなく、プラチナ台の宝石といっしょにつけてはいけません。ひじょうに美しいジュエリーのなかには、金の台に貴石をセットしたもの—ターコイズやサファイアと金の組合せや、金の台にセットした真珠にダイヤモンドやエメラルドをあしらったものなど—もありますが、これらはプラチナ台のジュエリーといっしょにつけてはいけません」

つまり、午前中、昼食以降、夕方以降と時間帯がポイントになっています。確かに小説や映画の中で、ヨーロッパの貴族はお散歩、昼食、ティータイム、ディナーといちいち着替えているイメージがあります。彼らとともに発展してきたジュエリーにも本来そのような格式があったとしてもおかしくありません。

しかし、そうなると、肌の色だけでジュエリーの地金の種類をおすすめするのは、難しくなってくるわけです。

似合う色とTPO うまく付き合ってジュエリーを楽しむ

いや、でも今どきヨーロッパのセレブだって、そんなにジュエリーのプロトコール守ってなさそうじゃない?
もっと気軽にジュエリーを楽しんだら、ダメなの?

はい。気軽に楽しんで、良いと思います。そもそも、普通に暮らしてたら、晩餐会に呼ばれないし!(笑)
夜のカジュアルな集まりに、スプリングやオータムの人はゴールドのネックレスで良いと思います。日本ではプラチナ台の結婚指輪や婚約指輪が主流ですが、これからはイエベの人が似合うものを気兼ねなく選べるように、欧米みたいにゴールドのリングも広まれば良いのに、と個人的には思います。

ただ、「似合う色」も「ジュエリーのTPO」も分かった上であえて外すから、「粋」だったり「シック」になるのだと思います。ですから、海外のフォーマルシーンでジュエリーをお召しになる機会が多いオータムの方が、似合うからゴールドのダイヤモンドジュエリーを作られるのか、あるいは地金はプラチナにして例えば濃いエメラルドやロードライトガーネットといったお似合いになる石をセットしたジュエリーをお作りになるのかは、考え方しだいだと思います。上半身の服やあるいは例えば3カラットの石に対する地金の面積はそう大きなものではない、という点も考慮する必要があります。

マダムは「真珠のネックレス、万歳!」と結んだ

ずいぶんジュエリーのTPOについて細かく厳しい注文をつけたマダムですが(婚約指輪はせめて3カラット以上と書いてあって誤訳かと思いました)、世界トップの真珠ブランドを抱える日本人が嬉しくなるようなコメントを最後にしています。

誰にでも等しく似合い、どんな装いにも美しく映え、いかなる場所柄にもふさわしく、すべての女性のワードローブに必須のジュエリーがひとつだけあります―それは、本物であろうとイミテーションであろうと、はじめてのデートから息を引き取るその日まで、ずっと使えるもの—真珠のネックレス、万歳!